商用軽水炉に用いられている原子炉圧力容器鋼は、保安上重要な一次系冷却水の圧力境界バウンダリーであるため、第一種容器として位置付けられており、中性子照射による機械的特性の変化すなわち照射脆化を把握するための監視試験片を用いた監視試験を行うことが義務付けられています。
監視試験については、民間規格である電気協会「原子炉構造材の監視試験方法」JEAC4201-2007において示された方法に則って実施されているとのことです。
現在、照射脆化の照射量依存性については、JEAC4201-2007の出典となっている「電力中央研究所報告書Q06019」記載の計算コードを用いて評価されています。
2013年の改訂版でフィッティングパラメータの変更が提案されています。
本計算コードはC言語で記載されており、コードは短いもののそのままコンパイルしても実行可能とはなっていないため、(笠田のような)計算機シミュレーションの非専門家には少々敷居が高いものになっております。
そこでここでは、C言語で記載された計算コードをシステムダイナミクスソフトウェアであるSTELLA(Ver10.0.6)に移植しました。
システムダイナミクスを理系のモデル解析にも応用可能であることを実感してもらうとともに、モデリングのコツなどを拾って頂ければと思います。
なお、電気協会規格のコードと同一の結果が得られるかどうかは十分検証しておりませんので、全て自己責任でご利用ください。
STELLA用ファイルはこちらからZipファイルをダウンロード後解凍してご利用ください。
JAEC4201-visualversion_dual_ver1-0
比較のために、コンパイルすれば実行可能なC言語版コードもアップしておきます。
こちらも自己責任でご利用ください。
尚、システムダイナミクス計算結果の検証のために、C言語版で計算した照射脆化の中性子フラックス依存性の計算結果についてもアップしておきます。
システムダイナミクスの勉強に役立てて頂ければ幸いです。
関連する原子力規制委員会「原子炉構造材の監視試験方法の技術評価に関する検討チーム」における議事録等はこちらからご覧頂けます。
http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/kouzouzai/index.html